▼トランプ氏が大統領就任へ
先日行われたアメリカ大統領選挙、クリントン氏優勢との事前予想を覆す形で、ドナルド・トランプ氏が勝利しました。
トランプ氏は、「メキシコとの国境に壁を築く」、「在日米軍基地費用を日本に負担させる」などの過激な発言を繰り返してきただけに、アメリカ国内外からトランプ氏の勝利に驚きの声が上がっていましたね。
トランプ氏の勝利が決まった後には抗議の声を上げる米国民も見られましたが、民主的な選挙によってトランプ氏が勝利した以上、トランプ大統領誕生に向けて時は流れていきます。
トランプ氏の過激な政策を懸念する形で、相対的に安全な資産とされる円が大きく変われ、円高ドル安が進みました。
また、日本の株式市場では日経平均株価が5%以上下落するなど、トランプ・ショックの様相を呈しました。
その後、NY市場で株価が上昇したこともあり、為替相場、日本の株式市場ともに大統領選挙前の水準を回復しました。
しかし、今回のトランプ・ショックでは株と為替以外にも気になる点がありましたよ。それは、ビットコイン価格の急騰です。
▼トランプ・ショックでビットコインは金とともに急騰
トランプ・ショックが発生した際、「有事の金」と言われる金価格が大きく上昇しました。
リーマン・ショックの際にも金が急騰しただけに、株式市場が混乱した際にみられるお決まりの反応といえます。
ただし、急騰したのは金だけではありませんでした。
ビットコイン価格も大幅に上昇したのです。
ビットコインは新手の通貨であり、円やドルといった従来型の通貨とは異なります。
そのため、たとえ世界経済が不況に陥ったとしても、ビットコインのレートは直接的な影響を受けにくいのです。
この点に気づいたトレーダーや投資家は、円を買うだけでなく、ビットコインを買いに走りました。
その結果、トランプ・ショックによってビットコイン価格が急騰することになったのです。
ビットコインはまだまだ新しい通貨であり、法整備も不十分です。
そのため、円やドルに投資する場合には存在しないリスクが、ビットコイン投資には多数あります。
しかし、既存の経済システムに組み込まれていないビットコインは、有事の際には安全資産と見なし得るのです。
中長期的な価格上昇だけでなく、リスクヘッジ手段としてもビットコイン投資が有益であるといえますね。
▼ビットコインは有事に強い資産か?
トランプ・ショックで示されたビットコインの強さですが、本当に有事に強い資産と言えるのかは疑問です。
というのも、ビットコインの発行数量には上限が存在します。
したがって、リスクが着実に高まる局面では、ビットコインの供給が不足することが考えられます。
柔軟に発行数量を調整できない以上、ビットコインの知名度が上がれば、有事の際にビットコイン市場が大混乱する可能性があります。
現時点では、ビットコインは有事の際の投資先の選択肢として一定の魅力がありますが、
金などと同一視してリスクヘッジに活用するのはまだまだ難しいのではないでしょうか。
今後、経済に何らかのショックが起こった際にも、ビットコイン相場に注目してみてくださいね。