ビットコイン開発コミュニティはどこでやり取りしているのか?

エンジニアの光田(@34ro)です。
今回はビットコインの開発コミュニティの人たちはどこでやり取りしているかということについて書きたいと思います。
ビットコインの開発は国や企業を超えてコミュニティが通貨を運用するという非常に新しくも難しい取り組みです。
まだ仮想通貨として完成した仕様があるわけではなく、少しずつ改善を重ねています。
その意思決定するためのやり取りをどのような場所で進めているのか紹介します。

開発コミュニティの独特な文化

ビットコインのネットワークには運営主体はありませんが、仕様やリファレンス実装については開発コミュニティが主体になって改善を重ねています。
新しい仕様を決めるためのやり取りもネット上で行われているわけですが、どかで行われているか分かりづらいのが難点です。
初心者お断りなエンジニア気質と長文文化がありとっつきづらいというのが正直なところです。
今まで見たことないくらい長い文章に出会うこともあります。(僕が見た中で最長はこれです→カリフォルニア会議2016議事録)
ビットコインのプロトコルに関する提案はBIP(Bitcoin Improvement Proposals)という形でgithubで公開し、議論されます(bitcoin/bips)。
BIPになった時点で採用されるかどうかは別として仕様としてはだいたい固まっているといえます。
アイディアが生まれて仕様として固まるまでの過程で活発なやり取りがされている場所を一つずつ説明します。

github

openなpull reqもかなりの数溜まっていますが、ほぼ毎日何かしらmergeされてます。
bitcoindはbitcoinクライアントの最も有名なリファレンス実装なので細かな仕様はここを確認することになります。
https://github.com/bitcoin/bitcoin

bitcointalk

検索結果から飛んだらそっ閉じしてしまいそうな見た目ですが質問を受け付けていたり一番初心者向けな印象です。
ビットコインの開発者は長文が好きなので少しとっつきずらい印象になってます。
https://bitcointalk.org/index.php?board=6.0

reddit

技術的なこと以外も含め幅広いテーマで投稿が集まっています。開発コミュニティとは直接関係ありませんが利用者は多いです。
ビットコイン以外の仮想通貨の情報も集まっています。
https://www.reddit.com/r/Bitcoin/

IRC

IRC
古代兵器感たっぷりですが、コミュニティの中心的な場です。
IRCというのはチャットシステムでかなり古くからある技術です。
毎週木曜日28時(日本時間)に行われるチャットミーティングもここの#bitcoin-core-devで行われています。
導入が少し難しいので投稿までの手順を簡単に説明します。

Lime Chatの使い方

Lime Chatが最も有名なIRCクライアントのようです。
WindowsでもMacでも利用可能です。
Lime Chatを通じてIRCサーバに対してユーザ認証やchannelのリスト取得、メッセージの投稿など諸々の操作を行います。
http://limechat.net/
インストール後起動したら接続するサーバとニックネームを設定します。
ビットコイン開発コミュニティはirc.freenode.net:6667を使っています。
スクリーンショット 2016-11-23 15.53.33
画面の中段にコマンド入力欄があるのでメールアドレスとパスワードを入力します。
/msg NickServ REGISTER yourpassword youremail@example.com
メールが届くのでその中に記載されているコマンドを実行します。
/msg NickServ VERIFY REGISTER takashi xxxx
これで登録できたので認証したらメッセージが投稿できるようになります。
このコマンドは次回以降、起動のたびに入力します。
/msg NickServ IDENTIFY yourpassword
channel listを取得して右クリックでjoinするとメッセージが投稿できるようになります。
IRCの性質上起動前に投稿されたメッセージしか読むことはできません。
そのため利用者の多くはIRC boucerを活用しているようです。
IRCの過去ログが閲覧できるサービスも存在します。
https://botbot.me/freenode/bitcoin-core-dev/
http://bitcoinstats.com/irc/bitcoin-core-dev/logs/2016/11
Lime Chatについては以上です。

slack

スクリーンショット 2016-11-23 14.49.34
あまり知られていませんがビットコインにもslackが存在します。
作ったものの開発者が居着かず結局IRCを使っているそうです。
このslackの一番の利点はIRCの投稿とメーリングリストのログがbotによって投稿されることです。
オフライン中の投稿を見るためにIRC boucerをわざわざ利用する必要はありません。
やりとりを眺めるだけならslackで十分でしょう。
なおslackのchannelに投稿してもIRCには投稿されません。
https://bitcoincore.slack.com/

まとめ

ビットコインの開発コミュニティのやり取りの場を紹介しました。まずはslackの導入がおすすめです。
全体的な雰囲気として見た目や分かりやすさより内容の価値重視な印象です。
やり取りはビットコインについて一通り理解していることを前提にしていることが多いので、これからビットコインについて調べるという方はtranslations-of-mastering-bitcoin(「ビットコインとブロックチェーン」という書籍にもなっています)を見てみるのがいいかもしれません。

さいごに

ビットコインはとっつきにくいところがありますが難しいと捉えるか面白い試みと捉えるかは人それぞれです。
面白いと捉える方はこちら↓ご応募お待ちしています。