先週、イングランド銀行がビットコインに関するレポートを発表した。イングランド銀行は、ビットコインの影響力はまだまだ限定的だとしつつも、その大きな可能性に注目しているようだ。
そのレポートでは、最後に一言、
「ビットコインは貨幣の3大機能のうち、少なくとも1つを代替する可能性がある」
とまとめた。
こちらの内容を噛み砕いて下記に要約する。
なお、原論文はこちらから参照する事が出来る。是非読んでみて欲しい。
The economics of digital currencies – Bank of England
概要
電子通貨は、決済システムと、新しい通貨の形としての、2種類のイノベーションを秘めている。
(写真はビットコインの変動比率(ボラティリティ))
イノベーションの核(Key Innovation)
なんといっても、これらの新しい形の電子通貨のカギとなる技術は、分散型元帳(Distributed ledger)である。
これこそが、非中央集権型の決済システムを生み出したのだ。
通貨の3大機能の観点から見る電子通貨
貨幣には、3大機能と呼ばれる3つの機能があるが(=> ビットコインの仕組み – 通貨に必要な性質とは?) イングランド銀行によると、電子通貨は、インターネットが利用可能なデバイスを持つ全ての人々にとって、通貨として振る舞う可能性があることを指摘している。
少なくとも現在、電子通貨はある一定の少数の人々の中においてでは、通貨としての条件を完全に満たしており、有効に使用されている。
電子通貨は、世界中の数千人の人々、それも、伝統的な通貨を同時並行して使う人々の中で、貨幣の3大機能を満たした上で、通貨として成り立っているのだ。
電子通貨はどのぐらい広く使われているのか?
正確な使用者数を推定するのは難しいが、2014年7月9日時点で、4100万アドレスが存在している。
そして、このうち160万アドレス以上の財布の中に、少なくとも0.001ビットコインが含まれている。(日本円で約50円程度)
金融システムの安定性の観点に関して
現在の状況
電子通貨は、金融システムとしての安定性という意味で、UK(イギリス)においては、具体的なリスクは現在現れていない。
勿論、過去小さなリスクや、急激な成長などはあったものの、それは大した問題ではない。現在UKの経済圏では、ビットコインの流通総額は£60 million(約100億円)程度であると考えており、これはマネーサプライであるM4の0.003%以下である。
結論
電子通貨は現在、社会の中でマネーの代替の役割はまだ果たしていない。
しかし、電子通貨は、少なくとも1つ以上の貨幣の役割を果たす存在として、頭角をあらわすポテンシャルを秘めている。
伝統的な通貨に対して、商品やサービスのプライシングをする観点に置いては、そこまで大きなインセンティブはないかも知れない。
(ただし、何らかの通貨危機が発生した時は、この状況は大きく変わりうる。)